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特集 戦争の代償と歴史認識
■二部(慰安婦問題)イントロ動画
■第一部
2014/02/28 「歴史修正主義者達は、自分自身の民族観に怯えて虐殺を必死に否定している」~岩上安身による能川元一氏インタビュー 第一部~南京大虐殺
■第二部の要約を以下、掲載します。
- 記事目次
- 大虐殺の被害者数ではなく被害事実自体が問題
- 東中野修道氏の『南京事件「証拠写真」を検証する』の写真捏造説
- 「30万人じゃなければ、南京事件じゃない」という論法
- 維新の会が求める河野談話作成時の慰安婦への聞き取り調査の再検証
- 河野談話は全ての慰安婦が強制連行されたとしていない
- 「河野談話の発表までに発見した資料」という限定条件の無視
- 「バタビア軍事臨時軍法会議」の記録は政府の嘘を暴く
- 強制連行に関する資料の紹介
- オランダの戦犯裁判の被告の日本人弁護人の調書が示す真実
- 強制連行や国家の意思といった言辞の言い訳への利用
- 「テキサス親父」というネトウヨお気に入りのネットユーザー
- レイシズムとセクシズム
- 慰安婦問題はレイシズムとセクシズムと歴史修正主義の三位一体
- ネトウヨの極端な二分法の危うさ
- 「今日的」なテーマ
大虐殺の被害者数ではなく被害事実自体が問題
能川氏は、歴史修正主義者が南京大虐殺を正確な被害者数が特定されていないとして虐殺の事実を否定する論法を、同様に究極的な被害者数が他の虐殺事件や米軍原爆投下の被爆者のケースでも特定されていない事実に言及して反駁した。
能川「広島市の原爆死没者名簿には約28万人の名前がある。これは被爆して亡くなった方の遺族からの申し出があればすべて登録されますが、米国が『数を増やしすぎだ』と言い出したら、我々は追悼のための『28万』という数字が不適切だと思えるでしょうか」。
東中野修道氏の『南京事件「証拠写真」を検証する』の写真捏造説
能川氏は、東中野修道氏の『南京事件「証拠写真」を検証する』における著者の写真捏造説を、揚子江岸の死体群を捉えた写真を分析してそれが南京大虐殺の証拠となることを論証した。
能川「例えば揚子江の岸に多くの死体が流れ着いた写真。東中野氏は『戦死者の死体が流れてきているのではないか』というが、中には後ろ手に縛られた死体もあります。これは日本軍が捕まえた中国人を後ろ手に縛って連行して殺した、という証言と符合している」。
『30万人じゃなければ、南京事件じゃない』という論法
能川氏は維新の会中山成彬氏が、南京大虐殺や慰安婦問題を否定する一連の発言が南京事件の被害者数の推計や慰安婦全体の最大値の推計を曲解する論法の上に成り立っている点を批判した。
能川「維新の会の中山成彬さんは、2013年4月10日の衆議院予算委員会で『通常の戦闘行為で30万人が殺されたなんてとんでもない。南京事件はなかった』と言っています。まさに先ほど言った、『30万人じゃなければ、南京事件じゃない』という論法です」。
維新の会が求める河野談話作成時の慰安婦への聞き取り調査の再検証
能川氏は、問題の焦点となる慰安婦の証言の裏付け調査の有無に関して、たとえ裏付け調査がなくても直ちに虚偽とはならないと主張した。
能川「もちろん性犯罪だからといって裏付けするな、なんてことは言いません。しかし、裏付け調査が行われていないということは、別にそれがいい加減だということにはならない。裏付けが取れなかったからといって、それがウソだということにはならない」。
河野談話は全ての慰安婦が強制連行されたとしていない
能川氏は、慰安婦強制連行否定論に対して河野談話の2つの重要ポイントを指摘した。1つは、同談話は慰安婦全てが強制連行されたとしていない点、
能川「河野談話は、別に『慰安婦の方すべてが強制連行された』と言ってるわけじゃないんです。今の日本の右派は、あたかも河野談話のせいで、すべての慰安婦が、日本軍によって直接拉致されたかのように思われている、と主張します。でも、それは違います」。
もう一つは連行過程だけが強制ではないという点である。
能川「もう一つの河野談話のポイントは、『連行過程』だけが強制だと言っているわけじゃないこと。『慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった』と。つまり慰安婦問題の人権侵害性というのは、別に募集の段階にあるだけではない」。
『河野談話の発表までに発見した資料』という限定条件の無視
能川氏は、第一次安倍内閣当時の安倍氏の『強制性を裏付ける証拠はなかった、というのは事実だと思う』という繰り返しの政府見解は、河野談話の限定条件(93年8月4日までに見つかった資料に基づく)を無視した点を指摘し、さらにその後軍や官憲による慰安婦連行の強制性を裏付ける資料(東京裁判(極東国際軍事裁判)関係文書『A級極東国際軍事裁判記録』という資料)が発見されたことに言及した。
そして、政府が当時までにそのような資料を把握していなかったのか、又現在も調査継続中なのかが問われるが政府は先の答弁を繰り返すだけである。
『バタビア軍事臨時軍法会議』の記録は政府の嘘を暴く
能川氏は、政府は共産党の赤嶺政賢氏の追及で、河野談話までに慰安婦強制連行を示す資料(『バタビア軍事臨時軍法会議』の記録)を実は発見していたことを認めておきながら、07年の答弁書が『河野談話を見直すべし』とする主張の根拠の一つとなっているために整合性を保つための否認を繰り返している点を指摘する。
強制連行に関する資料の紹介
能川氏は、強制連行に関する資料をいくつかリストアップを紹介した。『政府調査「従軍慰安婦」関係資料集成』(全五巻)これは現在ネットで閲覧できる。
他にも、吉見義明編『従軍慰安婦資料集』(大月書店)、吉見義明監修内海愛子・宇田川幸大・高橋茂人・土野瑞穂編『東京裁判―性暴力関係資料』(現代史料出版)、戦地性暴力を調査する会編『資料集 日本軍にみる性管理と性暴力―フィリピン一九四一~一九四五年』(梨の木舎)。
オランダの戦犯裁判の被告の日本人弁護人の調書が示す真実
能川氏は、戦後日本政府が実施した戦犯裁判の被告人への聞き取り調査で、オランダ軍の日本人被告が起訴上にあった強制連行を事実と証言している点を指摘した。
能川「スマラン事件はじめ、強制売春、強姦事件が裁かれてますが、起訴状にあったことはほとんど全部真実だろうと。むしろ起訴されていない事件がまだいっぱいある、氷山の一角だと弁護人が回想している。…」。
強制連行や国家の意思といった言辞の言い訳への利用
能川氏は橋下氏のような論客が、連合国側が用いてない「強制連行」や「国家の意思」が慰安婦問題否定のための言辞であることを批判した。さらに氏は、戦前1930年代に日本の地方行政における公娼制廃止が現在と同様の当時の価値観を示し、また軍中央のイニシアチブで慰安所を作れるようにした規制改正を指摘した。
能川「…軍中央がわざわざ規定改正をして、慰安所を設置できるようにした。しかも時期は戦争開始直後。つまり後から業者がやってきて追認したのではない。軍中央のイニシアチブで慰安所を作れるようにしたんです」。
『テキサス親父』というネトウヨお気に入りのネットユーザー
能川氏は、日本のネトウヨに人気の『テキサス親父』というネットユーザーが発見したと主張する新資料が、『慰安婦はただの売春婦』を証明するどころか、実は『20名の朝鮮人慰安婦と2名の日本人の民間人に対する尋問から得た情報に基づくもの』という既存の資料である点を指摘した。(IWJ・中西良太)
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